まめ知識

腎不全とは

1.腎臓病について

腎臓病には多くの種類があり、慢性腎炎症候群などの1次性のもの、糖尿病や高血圧などからおこる2次性のもの、その他に遺伝性のものや細菌感染が原因のものがあります。これらの腎臓病の中には非常にゆっくりと進行し、慢性腎不全となるものがあります。最初は自覚症状がありませんが、腎機能障害が進行してくると腎臓は体内の老廃物を排泄できなくなり、次第に全身的な症状が現れ(体がだるくなったり、食欲不振、むくみ等)、尿毒症となって透析療法が必要になります。

2.腎臓病の検査

腎臓病の経過を知るには、体重、血圧、尿検査、血液検査、腎機能検査や画像検査などが定期的に行われます。
体重の推移はむくみの程度や食事療法による栄養状態の指標となり、血圧の管理は腎臓病では重要とされています。尿検査が最も基本的な検査となり、タンパク尿や尿潜血を契機に腎臓病が発見されます。また尿中に出現する細胞の種類や数により、腎臓病の程度を知ることができます。血液検査では、腎機能の簡便な指標として、BUNやクレアチニンが測定され、その他にも腎臓病の原因疾患によっては経過を見る上で必要な検査があり、それらを併せて定期的に検査します。

3.血液透析

慢性腎不全が進行し、腎機能が正常の30%まで低下すると、BUNやクレアチニンの値が上昇し始め、次第に全身的な症状が現れ尿毒症となり、透析療法が必要になります。血液透析とは尿毒素に汚染された血液を人工腎臓と呼ばれるダイアライザーの装置に送り、血液中の老廃物を取り除き、余分な水分を除去し、電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン)の濃度を調節したり、血液pH(酸‐アルカリ)を改善したりして、血液を浄化して体内に戻す方法です。しかし、人工腎臓では健康な腎臓の一部しか機能を代行することができず、血圧調整因子(レニン)、造血刺激ホルモン(エリスロポエチン)、カルシウムおよび骨代謝を調節するビタミンDを活性化させることはできませんので薬剤で補う必要があります。さらに、血液透析は週に2~3回3~4時間行いますが、正常腎臓の10%ぐらいの働きしか出来ません。そのため、血液透析で腎臓の機能を代行する人は水分や食事をはじめ日常生活の過ごし方に注意が必要です。腎臓病は治りにくい病気と言われて来ましたが、最近では研究が進み、いろいろな対策が講じられるようになりました。そのためには腎臓病を早期に発見し、早期に治療を開始することが必要です。腎臓病の発見の契機は尿検査です。尿検査で異常を指摘されたなら、病気を恐れず専門医の指導に従い適切な治療を行いましょう。